2/23の為替市場

 唐突にブログ解説しました。本ブログは一金融機関に勤める人間が、所属機関に一切関係ない情報をもとに為替マーケット中心にコメントしていく予定です。憧れは村田雅志さんのブログということで、絶対に更新頻度が定着するか不明ですができるだけ毎日情報を発信できればと思っています。

 

本日2/23の為替市場

 

主役は新興国から再びG10通貨へ。Breixitを背景としたGBP安が止まらない状況です。英国のEU離脱はユーロ圏にとってもマイナス、という思考、および3月のECB追加緩和が確実視されてきたこともあり、EUR安もじりじりと進んでいます。一方、直近ではコモディティ価格と欧米主要株価指数が安定~反発の兆しを見せているにも関わらず、USDJPYの上値の重さは印象的。米株やVIXの反落、原油反発をJPY売りネタは数あるにも関わらず、下げがきつい状況が続いています。リスクアセットとJPYとの相関が崩れている状況です。東京オープンでは日経平均が前日比200円以上上昇する場面にもUSDJPYはまったくついていきませんでした。結果として、GBPJPYとEURJPYがだださがりする状況。Breixitも政治経済システムの不安定性を惹起させることから「とりあえず有事のJPY買い」となりやすいのかもしれません。

とはいえ足元のGBPUSD1.4割れ目指す動きは10年平均の名目実行、実質実効、傍記加重平均レートから見てもやや行き過ぎとの評価もあり、ソブリン債株価指数GBPほどの下げを見ていないことから為替だけやや突出感はあります。

 

JPYの上値の重さは、日銀マイナス金利導入~一時111円台割れを経て、

①市場参加者の期待が変化してしまったこと (もはや本邦~海外勢誰も130円シナリオは見ていない)

②より短期的には、海外勢らの大規模JPY買いによって、これまで苦しかった本邦輸入企業はUSDJPY買いを行いヘッジ比率を上げられたものの、輸出企業ほかJPY買いサイドは急落でまったくヘッジできていない。必然的にUSDJPY戻り売りの構図がうまれてしまう、ことがあると思います。

 

翻ってエマージング中国人民銀行人民元CNY対USD基準値設定は相変わらずロジックがよくわからず。本日も市場予想より大分元安に設定し、アジア序盤のリスクオフムードを演出しておりました。「対バスケットでの安定」をはかると人民銀は繰り返し述べていますが、バスケットでのレートは予測が難しく、当局と市場との齟齬をますます広げかねないと思います。実際、基準値設定はさらに中銀の裁量を残してもいます。またよく類似例で挙げられるシンガポールドルSGDのバスケット通貨による名目実行管理制度ですが、非常にわかりにくく、だいたいの金融政策発表時はマーケットは大荒れとなります。本日日経の経済教室には梶谷さんが人民元インデックスを好意的にとりあげていましたが、私は上記の通りボラティリティ増加の要因となるため、やや悲観的に見ています。「不透明感増す中国経済(上)硬直的な為替制度見直せ」

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO97546310S6A220C1KE8000

 

また韓国、メキシコとUSD売り介入が相次いでおり、不穏な雰囲気もありますが、実は足元はコモディティと資源大手メジャーへの懸念緩和(株価は反発、CDSは低下)でエマージング市場全体はG10より明るい状況にあると思ってます。もちろんその価格の反発はここ3-4年のトレンド内に収まっており、戻り売りを待つのだろうとは思いますが・・・。