2/24の為替市場 so far -

#ムーディーズのブラジル格下げは大手3社目でした。


アジア時間は昨夜の原油価格下落を引き継ぐ流れとなりました。イラン石油省のロシアとサウジ中心の生産停止合意は「愚か」ridiculous発言、サウジ石油相の減産までは考慮しない、との発言が尾を引き原油価格下落→リスクオフが継続。CNY基準値も30pips弱の小幅元安設定でしたが、大台が6.2→6.3に変わったのが印象的だったのか、リスクアセット・アジア通貨の売りを誘発する展開に。日経平均はやや右往左往も、結局16000台は回復できませんでした。

 

そして本日もGBPEURの下落が引き続き主役となりました。GBPUSDは1.40台割れどころか1.38台まで突入。1.4はリーマンショック時はじめ何度もサポートされていたが、買い手は現れず。このままでと30年ぶりの安値圏、Breixitの国民投票まで更に20%下落するかも、って過激なレポートも市場では意識されてくるかもしれません。というわけで本日もJPYはGBPJPYとEURJPY主導で上昇基調。EURの材料は3月追加緩和+Brexitでユーロ圏も打撃、という構図は変わらずですが、さすがに今回はEURキャリーを誘発するような取引は市場では見えず。前回の追加緩和失望時には、EURMXNユーロメキシコペソ、EURINRユーロインドルピーといったキャリートレードが巻き戻される場面がありましたが、今回はリスクアセット総売られ+債券高騰の中、あまりなさそうです。リスクオフ=EUR買いという構図も崩れてくるのでしょうか。

 

と思ったら、米マークイットのサービスPMIが50割れしてUSD売りの展開。EURGBPは買い戻し→USDJPYは売り。「米経済はサービス業で持ち直す」シナリオ黄信号でしょうか。いきなり50割れはTier2指標とはいえ印象的です。発表元のサイトで詳細確認しなければですね。

https://www.markit.com/Commentary/Get/24022016-Economics-US-flash-PMI-signals-heightened-economic-downturn-risk

 

Weather impact only part of story

It’s worth remembering that the month saw adverse weather affecting many parts of the country, so some bounce-back may be seen in March.

But the weather can only explain part of the slowdown. It’s clear that business confidence in the service sector has faltered significantly, reaching the lowest level in five-and-a-half years in February.

Optimism about the outlook has been on a downward trend over the past two years, with worries about the global economic outlook, financial market volatility, the presidential election and interest rate policy all taking a further toll on business morale in February.

Markit社によれば、天候である程度押し下げられたがそれば要因の一部に過ぎず、将来への見通しが大分悪化している模様です。米国のリセッション入りを市場が心配しているのはあながち現実から乖離した思考とはいえず、米国内でも共有されているという事でしょうか。

 

エマージングはネタはブラジル格下げ。S&Pに続き大手では2社目インパクトはやや低いでしょうが、BRLレアルはしっかり1%安で推移してます。

ムーディーズ、ブラジルを「Ba2」に格下げ 投機的等級 - RTRS
2016年2月24日 23:15:29
[ブラジリア/サンパウロ 24日 ロイター] - 格付け会社ムーディーズは24日、ブラジルの格付けをジャンク級(投機的等級)となる「Ba2」に2段階引き下げ、格付け見通しは「ネガティブ」とした。これにより主要格付け機関3社のブラジル格付けはすべて投機的等級となった。
ムーディーズは格下げにあたり、ブラジルの債務状況の一段の悪化と景気の大幅な減速を指摘。向こう2─3年間にわたり財政緊縮化の進捗具合は遅延し、経済成長も鈍化するとし、公的債務の対国内総生産(GDP)比率は3年以内に80%を超える恐れがあると警告した。
さらに、ルセフ大統領の弾劾手続きが進められるなか政治的に不安定となっていることで、赤字削減と構造改革の実施が困難になる恐れがあるとした。
ブラジル財務省は、ムーディーズによる格下げを受けても財政調整と公的債務の安定化に向けた取り組みに変更はないとの見解を発表した。

USDZARが前日比3%超も下落していますが・・・どうやら財務相(更迭されたネネ氏の後任=ネネ氏の前任だった人)が同国ソブリン格付けのジャンク級転落を避けたい、との発言をしたが自信なさげだった模様。予算・財政プランの発表を控えており、神経質だった市場を刺激してしまったようです。それにしても3%って笑

SOUTH AFRICA FIN MIN SAYS AIMS TO CUT OUT "NONSENSE" OF BAIL-OUTS FOR STATE-OWNED COMPANIES
SOUTH AFRICA FIN MIN SAYS "ELECTIONS DID NOT FEATURE IN MY MIND AT ALL" WHEN ASKED ABOUT RAISING TAXES
SOUTH AFRICA FIN MIN SAYS DOES NOT EXPECT UNIONS TO REACT OVER CIVIL SERVICE JOB FREEZES ANNOUNCED IN BUDGET
SOUTH AFRICA FIN MIN SAYS HOPES THAT BUDGET STAVES OFF RATINGS DOWNGRADE

South Africa finance minister says hopes to avoid ratings downgrade - RTRS
2016年2月24日 23:28:11
CAPE TOWN, Feb 24 (Reuters) - South African Finance Minister Pravin Gordhan said he hoped the austere budget he unveiled on Wednesday would prevent credit ratings downgrades that would drastically raise the cost of borrowing and damage investor confidence.
Asked if his budget was enough to stave off a rating downgrade, Gordhan told ENCA news channel: "That's what I hope."
Gordhan also said he aimed "to stop this nonsense of bail-outs" for state-owned companies and did not expect unions to react negatively to a freeze in civil service job appointments.

 

最後に本日も日経新聞の経済教室は中国ネタ。3部構成の真ん中です。中国経済は問題を抱えつつも、過度は悲観は不要、改革で乗り切れるだろう、という論旨と理解しました。願わくばそうなって欲しいものです。

不透明感増す中国経済(中)中高速成長の可能性なお
政策運営の能力向上 厳善平 同志社大学教授

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160224&ng=DGKKZO97596660T20C16A2KE8000

 

 

2/23の為替市場

 唐突にブログ解説しました。本ブログは一金融機関に勤める人間が、所属機関に一切関係ない情報をもとに為替マーケット中心にコメントしていく予定です。憧れは村田雅志さんのブログということで、絶対に更新頻度が定着するか不明ですができるだけ毎日情報を発信できればと思っています。

 

本日2/23の為替市場

 

主役は新興国から再びG10通貨へ。Breixitを背景としたGBP安が止まらない状況です。英国のEU離脱はユーロ圏にとってもマイナス、という思考、および3月のECB追加緩和が確実視されてきたこともあり、EUR安もじりじりと進んでいます。一方、直近ではコモディティ価格と欧米主要株価指数が安定~反発の兆しを見せているにも関わらず、USDJPYの上値の重さは印象的。米株やVIXの反落、原油反発をJPY売りネタは数あるにも関わらず、下げがきつい状況が続いています。リスクアセットとJPYとの相関が崩れている状況です。東京オープンでは日経平均が前日比200円以上上昇する場面にもUSDJPYはまったくついていきませんでした。結果として、GBPJPYとEURJPYがだださがりする状況。Breixitも政治経済システムの不安定性を惹起させることから「とりあえず有事のJPY買い」となりやすいのかもしれません。

とはいえ足元のGBPUSD1.4割れ目指す動きは10年平均の名目実行、実質実効、傍記加重平均レートから見てもやや行き過ぎとの評価もあり、ソブリン債株価指数GBPほどの下げを見ていないことから為替だけやや突出感はあります。

 

JPYの上値の重さは、日銀マイナス金利導入~一時111円台割れを経て、

①市場参加者の期待が変化してしまったこと (もはや本邦~海外勢誰も130円シナリオは見ていない)

②より短期的には、海外勢らの大規模JPY買いによって、これまで苦しかった本邦輸入企業はUSDJPY買いを行いヘッジ比率を上げられたものの、輸出企業ほかJPY買いサイドは急落でまったくヘッジできていない。必然的にUSDJPY戻り売りの構図がうまれてしまう、ことがあると思います。

 

翻ってエマージング中国人民銀行人民元CNY対USD基準値設定は相変わらずロジックがよくわからず。本日も市場予想より大分元安に設定し、アジア序盤のリスクオフムードを演出しておりました。「対バスケットでの安定」をはかると人民銀は繰り返し述べていますが、バスケットでのレートは予測が難しく、当局と市場との齟齬をますます広げかねないと思います。実際、基準値設定はさらに中銀の裁量を残してもいます。またよく類似例で挙げられるシンガポールドルSGDのバスケット通貨による名目実行管理制度ですが、非常にわかりにくく、だいたいの金融政策発表時はマーケットは大荒れとなります。本日日経の経済教室には梶谷さんが人民元インデックスを好意的にとりあげていましたが、私は上記の通りボラティリティ増加の要因となるため、やや悲観的に見ています。「不透明感増す中国経済(上)硬直的な為替制度見直せ」

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO97546310S6A220C1KE8000

 

また韓国、メキシコとUSD売り介入が相次いでおり、不穏な雰囲気もありますが、実は足元はコモディティと資源大手メジャーへの懸念緩和(株価は反発、CDSは低下)でエマージング市場全体はG10より明るい状況にあると思ってます。もちろんその価格の反発はここ3-4年のトレンド内に収まっており、戻り売りを待つのだろうとは思いますが・・・。